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日々、意味>新 2016.04.20 水島 七恵

「ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏」展@東京ステーションギャラリー(2016年2月20日―4月10日)へ駆け込みで行ってきました。

 

ジョルジョ・モランディ。

 

20世紀前半に活動したイタリアの画家。生涯独身、故郷のボローニャを離れず自宅兼アトリエで過ごした彼の作品のほとんどが静物で知られ、それも水平の机の真ん中にいくつかの花瓶などを密着して配置したシンプルな構成で知られています。私がモランディを知ったのは、イタリアの写真家、ルイジ・ギッリの写真集「Atelier Morandi」との出会いが最初でした。モランディのアトリエに半年間通い続けたルイジ。彼の写真を通して見るモランディのアトリエは、それはもう質素で簡素でした。何十年もアトリエに置きっ放しにしてわざと埃も払わずにいた道具の数々。でもそこに光が差すと、それはこの上なく美しいのです。そんなモランディの作品が東京にやってくる。それも、日本では3度目、17年ぶりとなる展覧会というから見逃せませんでした。

 

「実際に見ているもの以上に、抽象的で非現実的なものは何もない」

 

ふと会場で飛び込んできたモランディの言葉に、私は深く安堵しました。世界はいつも曖昧で、錯覚で…、世界があるから「わたし」が存在しているのではなくて、「わたし」が存在しているから「世界」があるんじゃないかとうっすら思ってしまう私に、モランディが作品を通して「そうだよ」と、ささやいてくれたような気がしたのです。もちろんそれは作品を通してみた私の世界だから、モランディが意図した真実にたどり着けていないかもしれません。

でも、私は心通い合えた気がした。その実感だけを頼りにしてもいいのでは?と思うことは、やっぱり傲慢でしょうか。

水島 七恵
水島 七恵
編集者。新潟生まれ。人の営みから生まれる文化全般を思考領域としながら、雑誌やウェブメディアを中心に、企画とディレクション、執筆を行う。最近の仕事に「TOKYO PAPER for Culture」(vol.01〜vol.16)の編集ディレクションと執筆、雑誌「リンネル」(毎月20日発売)でのシネマレビュー執筆などがある。自分の原点は、音楽。最近目覚めたことは、筋トレ。私にとって編集とは世界の見かたを増やす手段だと思っています。

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