1本のスプーン

日々、意味>新 2017.07.31 水島 七恵

友人から小さな木彫りのスプーンをいただいた。それは北海道の先住民族であるアイヌの木工芸で、阿寒国立公園内にある木彫りのお店で買ってきたくれたという。その素朴さ、無骨さが愛らしく、何度も手に触れてしまう。自然、動物、植物、道具など、アイヌの人々は、人間をとりまくすべての事物に“魂”が宿っていると考え、感謝をささげ、祈ってきた。このスプーンにもきっと、魂は宿っている。そもそも「アイヌ」とは、彼らの言葉で「人間」を指す。私はその人間をもっと知りたいと思った。

ちなみにアイヌ語は私たちの身近にもちゃんと根づいている。動物の「ラッコ」や「トナカイ」は、まさにアイヌ語だ。アイヌは私たちのなかにも生きている。