「距離の標本」

日々、意味>新 2017.10.28 水島 七恵

10cm、1m、10m。距離の長さが違うものを一つのフレームの中で示したポストカードは、中村至男さんによるもの。タイトルは「距離の標本」と書かれていました。私はこのポストカードを、2015年、中村さんがグラフィックを務めた21_21 DESIGN SIGHTで行われた企画展「『単位展』あれくらい それくらい どれくらい?」のグッズ売り場で購入しました。

10cm、1m、10mが、ポストカードのなかに見事におさまっている。それはハッとする体験でした。私が携えていた「距離感」に対する概念に、新しい風が入り込んできたような気がしたのです。つまりそれはモノの見かたが変わるということ。変わることで、世界はもっと広いこと、同時に自分のモノの見かたがどれだけ狭くあるかに気づくのです。例えばここ1年ほど、ランニングをするようになったのですが、5kmのランニングコースを普段の活動エリアで捉えてみると、ずいぶん遠い場所まで守備範囲になることに気づくように。
何かに囚われているなと思うとき。良いアイデアが思いつかないとき。そんなとき、ふっと壁に貼った「距離の標本」を眺めては、頭の中をほぐすようにしています。

 

水島 七恵
水島 七恵
編集者。新潟生まれ。人の営みから生まれる文化全般を思考領域としながら、雑誌やウェブメディアを中心に、企画とディレクション、執筆を行う。最近の仕事に「TOKYO PAPER for Culture」(vol.01〜vol.16)の編集ディレクションと執筆、雑誌「リンネル」(毎月20日発売)でのシネマレビュー執筆などがある。自分の原点は、音楽。最近目覚めたことは、筋トレ。私にとって編集とは世界の見かたを増やす手段だと思っています。

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