ビルバオにて

日々、意味>新 2017.12.18 水島 七恵

 

スペシャルで執筆させていただいたように、この秋、私はポルトガルとスペインに訪れました。シザの建築に夢中だったポルトガルを経て、スペインでは主にロマネスク建築をめぐる旅を続けました。その道中に立ち寄った街のひとつがビルバオです。

 

ビルバオ、とても良い街でした。なかでも印象的だったのが、1893年に造られた世界最古の運搬橋でネルビオン川に架かっているビスカヤ橋(写真上)。今も現役で、日々人やバイク、車を巨大なゴンドラで運んでいます。スクラップ&ビルドで発展してきた東京では、考えられない風景です。橋の上も見学できるので行ってみました。が、何せ橋が古いため、足元を囲むセキュリティは最小限という状況で、高所恐怖症の方は、絶対に厳しいと思います……が、眺めは最高です! 私にはこの橋が、ビルバオという街の体幹になっていると感じました。


また、ビルバオといえば、建築家フランク・ゲーリーが手がけたビルバオ・グッゲンハイム美術館が有名です。1970年以降、重工業の衰退によって人口も縮小し続けたビルバオの再生に大きく貢献したのが、まさにこのグッケンハイム美術館。という話はすでに語り草になっていますが、1997年10月、グッケンハイム美術館は主に近現代美術を専門に開館しました。

 

そんなグッケンハイム美術館をゆっくりと堪能。なかでも、私を圧倒したのは彫刻家リチャード・セラの常設展示と、テキスタイルアーティストのアンニ・アルバースの企画展。130メートルの無柱空間に、セラの「ザ・マター・オブ・タイム」を常設するグッケンハイム美術館の姿勢にしびれ、また日本では紹介される機会のないアンニの織物と版画をたっぷりと鑑賞できたことは、何よりの至福でした。アンニといえば、敬愛するヨーゼフ・アルバースの奥様で、世界のファイバーアート界に多大な影響を与えたひとり。織物を芸術の文脈で語られるようにした第一人者とも言える人です。

 

 

グッケンハイム美術館の登場によって、ネルビオン川沿いを中心に再開発が進んだビルバオの街。ひとつの建築が都市を再生するパワーを持つことを立証しました。でもその背景には、ビスカヤ橋のように、粛々と蓄積されたこの街の営みがあってこそだと私は思う。建築は、その営みをつなぎながら、豊かな円を描いていったのだと。

 

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