日常に潜むよくできてるもの

日々、意味>新 2018.03.08 橋本 司

インスタントコーヒーと言えばのこのコーヒーカップ。誰でも1度は見たことありますよね?前々からこれがめちゃくちゃよくできてると思ってたので、今日はこのカップの良さについて。仮に自分が「(主に)オフィスにインスタントコーヒーを導入してもらいたい側」になったとして、そういう視点でカップに焦点を絞って見てみましょう。

 

まずカップのせいで「熱ッ!」と書類やPCにコーヒーをこぼしてしまうことは絶対に避けたい。そして、「コーヒーを提供するのでカップは用意してください」というのは条件として厳しいし、こちらから提供するにしても社員全員分のコーヒーカップを置いておけるほど給湯室は広くないかもしれない。そう考えるとコーヒーサーバーと一緒に置いておけるカップも外せなさそうです。その方が動線的にも無駄がないですしね。そして、ランニングコストを理由に断られないように、カップにかかるコストはできるだけ抑えないといけない。サクッと考えただけでもこの3つはマストじゃないかなという気がします。

 

カップについては、素材を薄くすればコストは下がるけどその分熱が伝わりやすくなるし、ペラペラだとコーヒーの重みにカップが耐えられないかもしれない。それに、ただのプラカップだと使う度に洗わないといけないし、洗ったとはいえ上司が使ったカップを使うのは抵抗がある女性社員もいることでしょう。

 

それらを1発で解決するアイデアがコーヒーカップを「ホルダー」と「インサートカップ」に分けるという発想。これ素晴らしいですよね。今となっては普通のことみたいになってますけど、最初に思いついた時は革新的なアイデアだったんじゃないでしょうか(このカップが最初かどうかは定かではありませんが)。

 

こうすることで、ベースとなるホルダーはしっかり作って繰り返し使ってもらい、コストを抑えるために薄く作ったインサートカップは使い捨てにできる。だから、補充は主にインサートカップだけでいい。しかも、インサートカップにはかさばる取っ手部分がないから、スタッキングすることで省スペースにたっぷりストックできます。

 

熱についての問題も、インサートカップの角度を調節してカップとホルダーの設置面積を極力小さくすることで、ホルダーに熱が伝わりにくいようになってる。ホルダーにカップをセットした状態は、いわばダブルウォールのようになってるわけです。取っ手に入れた指がホルダーの側面に当たっても熱くならないんですね。

 

さらに、ホルダーの下部をグッと絞ったように内側に入り込んでいることで、取っ手を握ったときに薬指が自然とそこに入って、カップの重さを支えやすくなってる。もちろん、そこもインサートカップが触れていないので熱くありません。裾を絞ったままの形状にせず、最後は末広がりにすることで置いたときのカップの安定感が増し、スタッキングしたときには左右へのグラつきが小さくなるストッパー的な役割を果たしています。

 

また、インサートカップは故意に口をつけようと思わない限り、うっかりホルダーに口がつかないように十分なクリアランスを設けてあるから、ホルダーを洗う際も軽くで済むし、抵抗も感じにくい(と思う)。

 

とまぁ、こんな感じで軽くて持ちやすく、多くの人にとって使いやすいコーヒーカップになってるので、見た目のきれいさや質感、使い捨てでゴミが出ることの是非などいろいろありつつも、よくできてるなぁと感心させられます。