岩元航大くんの新しい挑戦

日々、意味>新 2018.11.17 加藤 孝司

duendeから「ベントスツール」をリリースしているデザイナー岩元航大くんの新作は、工業用素材PVCパイプを使った一点もの「pvc handblowing project」のベース。しかも、パイプを切ったり繋いだりする安易な加工に頼るのではなく、受口のついたパイプの一部を熱し、ガラス製品のマウスブローの要領で空気を注入し加工する鮮やかな手前でユニークなデザインピースを作り上げた。
PVCパイプ(塩ビ管)は上下水道、排水などに使われる、軽量で腐食が起こりにくく耐久性のある素材。pvc handblowing projectでは、熱で曲がりやすいという素材そのものの特性に着目し、素材の組成にいわば介入し「加工」してプロダクトを作っている。製品の表面は、素材に負荷を与えて作り出したものではないから、なめらかな美しさも備え、通常は影に隠れている鑑賞するものではないものを鑑賞するものへと転換させた。

 

ベースにはガラスや瀬戸物といった素材が多く用いられるが、これはそれらに比べて落としても割れにくいとも想像する。ボクは愛猫のジャスパーと暮らしているので、陶磁器やガラスの花器やオブジェを部屋に置くことに二の足を踏んでいる。そんな身としては、なんとも魅力的なプロダクトだ。
マウスブローで生産しているため、型で制作しているものでも、一点一点どこか異なる風合いを持っている。宙吹きのものは、有機的なそのいびつさ、不可逆性を含め生き物のような愛らしさを持っている。
今年の春ミラノで行ったグループ展「EX-PORTATION」で発表され、すでに海外でも話題になっていると聞く。マテリアルに対する実験精神は60年代のパフォーミングアートのようだし、90年代を中心に興ったダッチデザインムーブメントをも想起させる。
以前の「意味新」でのベントスツールに関するインタビューで岩元くんは、素材の特性や加工方法に着目し、美しい造形を生み出すことに興味があると言っていた。ベントスツールはチューブフラット二ングというパイプをつぶす加工方法を試している時のエラーがヒントになり生まれたというが、pvc handblowing projectが、どんなプロセスがヒントになり生まれたものなのか、いつか岩元くんに聞いてみたいと思っている。

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