ジャスパー・モリソンがデザインしたイッタラのラーミコレクション

日々、意味>新 2019.04.05 加藤 孝司

最近買ったもののひとつにフィンランドのガラスメーカー「イッタラ」の新製品である「ラーミ」のタンブラー(グラス)とウッドトレイがある。

これはイギリス人デザイナーであるジャスパー・モリソンがデザインしたダイニングコレクションで、そのラインナップはタンブラー、カラフェ、キャンドルホルダー、ワイングラス、セラミックのボウル、カップ、ウッドのトレイなどによって構成されている。
今回購入したグラスは、内側の溝に特徴があり、色もクリアとイッタラらしいスモーキーなカラーが採用されている。
テーブルウェアのなかでもグラスはイッタラの象徴的なアイテムであり、ラーミコレクションにおいても最も特徴的なものだと思う。手に持ったときにしっくりくるシリンダー状のボディに裾がすぼまったフォルムは、これまでのイッタラのどのグラスシリーズにもないデザイン。イッタラのグラスといえばカイ・フランクがデザインし60年以上前に生まれたロングセラー「カルティオ」がアイコンとなっているが、いまやグラスの「スーパーノーマル」となったカルティオのアノニマス性をどこかで踏襲しながらも、モリソンがデザインしたラーミはイッタラのグラスの新しいアイコンとなるだろうし、長く愛着をもって使うことができるプロダクトにもなっているだろう。願わくばロングセラーアイテムになることを期待したい(名作「リレーション」のようにはなることなく…)
グラスの内側に入れられた規則的なフルーテッドがクラシカルな装いでありながら、現代的な美しさをもたらしている。このフルーテッドデザインはガラスの屈曲により、光のもとではテーブルの上に美しい影を落とす。
どこかでみたようなものでありながら、これまでなかった現代的なグラスのフォルム、デコ的な要素であるフルーテッドの再解釈。それらの総体がもたらすものは毎日使うものとしての機能性であり、普遍的な佇まいそのものだ。