ミナ ペルホネンの挑戦

日々、意味>新 2019.11.15 加藤 孝司

たまにはこれから始まる展覧会のことについて。

ミナ ペルホネンはデザイナーの皆川明さんが、その前身となるミナを1995年に設立したことに始まり、来年で実に25周年になる。

オリジナルのテキスタイルによりつくられる服は、世の女性たちの憧れで在り続けていることは周知の通り(僕の周りの女性たちには確実に)。

どこか懐かしいその柄にはいつもワクワクさせられ、その懐かしさとともに、新しさ、ひらめきのようなものも感じさせてくれる。

デザイナーの皆川明さんに関しては、何度かお会いしたこともあるが、印象に残っているシーンはいくつもある。特にいつかのトークのあとだったか、著書を持って集まる女性たち一人ひとりに向き合い言葉を交わし、サインと同時に何かを丁寧に描いている姿。あんなことをされたらますます好きになっちゃうようなあと思ったことを覚えている。

そして明日からその皆川明さんの展覧会「ミナ ペルホネン / 皆川明 つづく」が東京の東京都現代美術館で始まる。

この展覧会に関しては夏前ころからいろいろと話題は聞いていて、なかでも友人がデザインに携わった広報物のデザインがおもしろいと思った。これまでのミナペルホネンの広報物とはどこか違っていた。オリジナルのテキスタイルをモチーフにするわけでもなく、カラフルな印象のあるミナにしてはなんとなく地味めだ。

あやとりをしている両手に、大きな文字で「つづく」と書いてある。これが展覧会のタイトルだ。

つづくとは、30年にわたるミナ ペルホネンのこれまでの歩みを示しているとともに、つながる、循環する、そしてものがなにかを生み出す生成のエネルギーへの思いも込めていると最近届いたチラシには書いてある。

つづくにはどちらかというと新しさではなく、現状維持やそこにとどまる意志を感じがちだが、実はここには現状への肯定と同時に、新しいことへの挑戦も含まれている。そんなことをミナ ペルホネンのつづくには感じた。

さて、そんなタイトルを掲げた本展がどんな展示になっているのか。とても気になるところである。

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