壺と土。

日々、意味>新 2019.11.01 加藤 孝司
青山のコズミックワンダーにて、安田都乃さんの土器。
プリミティブな価値観で服づくりを続けるコズミックワンダーと深い関わりがあるという安田さんの器は、まさにその価値観において原始の営みの鼓動を受けとめる土器ともいえるもの。
これらを先入観のない目で見て思ったのは、土や、火をなまなましく感じる器であること。
そう感じた理由は、彼女のテキストをみて、なんとなくわかった。
縄文遺蹟の近くで採れた土を使っていること。窯ではなく、野焼きの手法で焼物を焼いていること。そして轆轤ではなくより原初的な作陶法である手捻りで成形していること。
さらにユニークなのは、外界とは異なる空間密度を構成しているであろう、器の内部、壺内に充ちる周波数に着目した点。それを実際に機器により測定し、そこから導かれた周波数を器の考察対象としていること。
今回の作品は器の土台に石が使われている。茶碗や丼、湯呑みの高台のように扱われた石井は、壺からの波動を受け止める土台となっているんだとか。
個展は終わったが、青山のコズミックワンダーの店内で、未だ展示販売されていると思うので、一見することをお勧めする。