流しのバー

日々、意味>新 2019.11.18 野本 哲平

先日、神田で夕飯をたべたあと、自転車での帰り道、日本橋辺りのとある交差点でポツンと白い屋台が交差点に佇んでいた

屋台の店先には若者が3人ほど立って、のんでいた。ここで出会ったのかグループできたのかどうかはわからなかったが、人通りの少ない大都会の一角で、オレンジ色の街灯に照らされたその光景はとてもよかった。

初めて見かけた屋台だったが、その状況がとても素晴らしかったので声をかけてみると、いつもここで出しているわけでなく、いろいろなところを転々としているとのこと。
機会があったら今度行ってみようと思いながらその日は家に帰った。

二週間ほど経ち、夜、小川町あたりを自転車でうろうろしていたら、交差点の角で白い屋台を引いたこないだのマスターにすれ違った。
自分は自転車で移動してたし、向こうも屋台を引いて歩いてたので、自転車の速度プラス歩く速度ですれ違ったわけであるが、それ以上のスピード感というか、面情報で入ってこないというか、長時間露光した写真の半透明の残像感のような、何かそんな印象を受けた一瞬のすれ違いだった。

すれ違ったあとしばらくして、今夜はどこへ出すのかな?と思い、ついてってみようかと思い引き返して、もときた道を引き返すと、もうそこには屋台はいなかった。

ほんの15秒から30秒くらいだったと思うのだが、視界からいなくなってしまった。
屋台が向かったであろう方向を探してみるが、(こちらは自転車なので探すのにも有利なはずなのだが)どこを探しても見当たらない。
まるできつねにつままれたような、ドラえもんの大長編、のび太の海底鬼岩城に出てきたバミューダトライアングルの幽霊船とすれ違ったような、なんともパラレルワールドの入り口に入り込んでいるような出来事だった。

いた!

方々探して、ようやく昌平橋の上にいるのを発見した。
メニューとかしつらえとかシステムとか、そして何よりマスターの醸し出す雰囲気とか、全てが普段の僕らの生活とは異なるレイヤーの出来事のようでいろいろ興味深いのだけれど、これはまあ行ってみてから自分で確かめるほうがいいと思うので。
ちなみに僕の夢の1つには神出鬼没の江戸前寿司の屋台をやりたいという項目がある。
これについてはまたいつか。
なかなかどうしてパラった夜だった。
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