頭の上のたんざくに願いを込めて。
現代居酒屋考現学。

日々、意味>新 2017.06.17 加藤 孝司

いつの頃からか、レストランやカフェのお品書きは、メニューといわれ、きれいな紙に整理整頓され、テーブルの上に並べられ、オーダーが済むと下げられるようになった。
でも、たまにまちの居酒屋では、お品書きは「たんざく」のような紙に書かれて壁に貼られている。ときに、手書きで書かれたものも見かけることがある。
個人差はあるかもしれないが、のれんをくぐりドアをあけ、いらっしゃいの声とともに、店内を見渡した先にそんなお品書きに出合うと、なぜかほっとしてしまう。
もちろんテーブルやカウンターには、その日のおすすめや、飲み物のお品書きもあるのだけれど、ついついカウンターの上を見上げてしまうから不思議だ。
その店や、その土地の旨いもの、定番メニューは、だいたいこのたんざくに書いてある。だから、うまいもん、うまいもんと、条件反射的にその中から選べばほとんどハズレがない。七夕の笹飾りに吊るすたんざくのように、ほんのすこしばかりの願いを込めて。
さて、次はどの店に入ろうか。

( 京都にて。)

加藤 孝司
加藤 孝司
加藤孝司/かとう たかし
デザインジャーナリスト。東京は浅草生まれ。デザイン、クラフト、アートなどを横断的に探求、執筆。雑誌やウェブなどへの寄稿をはじめ、2005年よりはじめたweblog『FORM_story of design』では、デザイン、建築、映画や哲学など、独自の視点から幅広く論考中。休日は愛猫ジャスパーと過ごすことを楽しみとしている。

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