控えめに落とし込む
思えば意識的に日用品を見るようになったきっかけはこれだったんじゃなかろうか、という気がするこのグラス。まず単純にとてもきれいだなぁと見てしまう。で、その後に「あ、このラインってスタッキングのためなのね」と気付く(内側が分厚くなっていて、そこにグラスが乗っかって重ねられるようになっている)。
その「後で気付く」ってのがよくて、機能がプラスされてるのに見た目がそっちに流されていない。グラスのメインの用途はあくまで「飲む」であって、それに付加された「重ねられる」という言わばサブの機能性は、その役割と同じくらいのバランスで控えめに形に落とし込まれてるわけです。
くわえて、底部の不必要なまでの厚みも重心が下がって安定感が増すだけでなく、よく見ると底部:スタッキング部:上部で1:2:3くらいの割合になっていて、グラスの印象に大きく作用しているんだと思います。
個人的には、このグラスと対になる魅力を持ってるのがOMAのタンブラー。それについてはまた今度書きますね。
iittala / Relations : Konstantin Grcic