デザインのユートピアはどこにある?
「ギフト デザインの贈りもの展 永井敬二コレクション」@無印良品有楽町店

日々、意味>新 2018.02.22 加藤 孝司

世界中集められたデザインにまつわるものを数多くコレクションする、福岡在住のインテリアデザイナー、永井敬二さんのプロダクトデザインコレクションを展示する「ギフト デザインの贈りもの展 永井敬二コレクション」が4/15まで、無印良品 有楽町 2F ATELIER MUJIで開催中。
先日京橋のAGCで行われた関連するトークを聞いてきた。テーマはアーカイブについて。

収蔵するということ、それを次世代に受け継ぐことを巡るお話の中では、世界のアーカイブ事情が語られるなか、日本におけるそれは、アーカイブの困難ばかりで未来を感じさせる話は最後まで聞くことができなかった。
トークのきっかけは永井さんのコレクションをどう受け継ぎ、どうアーカイブするか?という問題に立ち上がったミラノ在住のジャーナリストの田代かおるさん。
客席には永井さんご本人もいらしていて、美術館にコレクションされるのは、生きたコレクションにならない、サロンのような場所で、椅子なら人に座ってもらえるような状況を作りたいという言葉が印象に残った。「デザインのユートピア」のような永井さんのコレクションを前に歯がゆさが残る。2016年急逝した柳本浩市さんのコレクション問題もそうだが、個人のアーカイブの継承は深い問題だ。
アーカイブの遺産の伝達がうまく行かない理由、ひとつには、日本人のマインドにも関係している。好きではないのではないかと思えるくらいレガシーを引き継ぐ、受け継ぐことが苦手な国民性。
歴史を作るにしても、自分が最初になりたがる。自分が作るものがレガシーになることはいいが、自分が他者が築いたレガシーを引き受けることは好まない。国立競技場問題も一緒ではないだろうか。
まっとうなアーカイブは日本では無理なのではないか?唯一可能なのは、熱狂的なフォロワーに委ねること。あるいは、物理的には分散しても、RFIDタグなどをつけるして、個別に個人が責任を持って管理し、生活の中で使いながら在りかを明確にして、クラウド上にアーカイブすること。
そこにデザインのユートピアが生まれるのかもしれないと、今は考えている。

加藤 孝司
加藤 孝司
加藤孝司/かとう たかし
デザインジャーナリスト。東京は浅草生まれ。デザイン、クラフト、アートなどを横断的に探求、執筆。雑誌やウェブなどへの寄稿をはじめ、2005年よりはじめたweblog『FORM_story of design』では、デザイン、建築、映画や哲学など、独自の視点から幅広く論考中。休日は愛猫ジャスパーと過ごすことを楽しみとしている。

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