野生を身につけて

日々、意味>新 2018.02.28 水島 七恵

以前、このダイヤリーでもご紹介させていただいた東京と根室、ふたつの東をつなぐプロジェクト「Eastern」のvol.02のイベントが、2月24、25日と根室で行われました。私にとっては8度目の根室ですが、この時期はちょうど流氷が根室にたどり着く時期でもあり、個人的に一年通して一番好きな時期でもあります。気温はマイナスが当たり前ですが、積雪もあって湿度も高いせいでしょうか。あまり辛くない寒さなのです。むしろ私は真冬の東京のビル風の方が辛く感じてしまいます…..。そんな根室ですが、実際行ってみると、流氷はまだちらほらという感じでしたが、変わらずの凛とした空気と動植物たちの野生の領域が私を包んでくれました。

全体のレポートについては、また改めてこちらで書かせていただく予定ですが、少しだけvol.02のテーマ「釣りに行こう。」の断片をお届けします。写真は、動物の毛を使って、アクセサリーを作る「ワークショップ」で生まれたイヤリングです。講師は、Easternを企画・運営するVOSTOKの代表であり、ジュエリーデザイナーの古川広道さん。古川さんは幼い頃から釣りに親しみ、なかでもフライフィッシングをこよなく愛する釣り人ですが、そもそもこのフライフィッシングとは、動物の毛や羽を使って虫や小魚の毛針を作ることで新しい命を吹き込み、魚を釣る遊びでもあります。野生動物や自然との距離が開きつつある今の生活に、野生の息吹や輝きを感じてもらう一つの入り口として、このワークショップは行われました。

熊や鹿、鳥たち。実際の動物の羽を用いて作るアクセサリーは、野生の躍動に溢れた生々しさが強くなるかな、とも予想していたのですが、実際に手にしてみると、色鮮やかでシャープで、バランスの取れたモダンなデザインとしか思えないくらいに、美しいプロダクトになっていました。それは古川さんの感性によって導かれたデザインでもありますが、何千年と時間をかけて研ぎ澄まされてきた野生の素材は、すでにその時点で完璧に仕上がっているものなのだな、それに勝るものはないなと、改めて体感しました。つまり、このイヤリング(写真1枚目)、大変お気に入りということです。

 

「Eastern」 vol.02東京編は3月24日、25日に行われます。ご縁がある方はぜひ。イベントの詳細はEasternのオフィシャルインスタグラムをご覧ください。