エンツォ・マーリのイタリアの万年カレンダー

日々、意味>新 2018.04.26 加藤 孝司

みなさん、普段どんなカレンダーを使用していますか?スマホなどの携帯電話が普及した現在、あらためて印刷物のカレンダーや置物のカレンダーをみることも少なくなったのではないだろうか?以前、どの家にも2つや3つはカレンダーがあって、年末に翌年のカレンダーを買ったり、いただいたりするのは当たり前だった。

カレンダーはに日にちや曜日を知るというよりも確認するためには不可欠なものでだけど、あらためてその存在を考えてときに、現代ではその存在感が薄れていることは否めない。とすれば、ものとしての存在感をもったカレンダーが欲しい。かつてはカレンダー部分よりも絵柄の部分が大きいものがあって、そこには世界遺産的な風景写真、犬や猫の愛らしい姿が印刷されていた。それともうひとつ、日めくりカレンダーというものがあって、これには日にちや曜日とともに、その日の謂れや大安、友引、格言などが書いてあった。でもどうもカレンダーの存在感は薄れていることは間違いがない。

デザインのプロダクトにもこれまではカレンダーはひとつのジャンルとして必ずあって、古今東西のデザイナーたちがカレンダーのデザインをしてきて歴史がある。

そこで、僕が今も普段から愛用しているカレンダーはといえば、イタリアのダネーゼ社のもので、デザインは僕も大好きなエンツォマーリのティモールだ。これは今から50年ほど前、1967年に発表されたもので、今も新品を手に入れることができるロングライフデザインだ。文字盤に使われている書体はかのヘルベチカ。視認性も高く、普遍的なデザインだ。ダネーゼは永く使い続けられる良品、人とモノとの関わりを大切にしたものづくりを長年続けてきたブランドだ。ティモールのデザインにもそのデザイン哲学は息づいている。

これを僕は毎日かたかたと日にち、曜日、月の変わり目には月を変えて使っている。半世紀以上前の人となんら変わらない動作を21世紀の現在も変わることなく繰り返している。永く、飽きずに使い続け、そしていつでも新しい。すべては流動的で、毎日同じ繰り返しはないこと。そんな日常の中の当たり前なことに、ふと気づかせてくれる、日をめくる行為は、こんな時代だからこそ重要なもののような気がしている。

 

ダネーゼ ティモール 21,600円(インテリアショップなどで販売)