Noismは、新潟の「良い違和感」

日々、意味>新 2018.11.23 水島 七恵

先日、仕事で新潟市民芸術文化会館(愛称:りゅーとぴあ)に行ってきた。りゅーとぴあといえば、今年(20018年)で設立15年を迎えた日本で唯一の公共劇場専属舞踊団、Noismの活動拠点でもある。主に市の税金をもとに舞踊家を年間雇用することで、創作環境を提供するという劇場専属舞踊団の取り組みは、日本には浸透されていないことも含めて、設立当初から注目を集めてきたNoism。2019年8月に5期目の満期を迎えるが、その先の活動は、まだ未定だ。

というなかで、これはあくまで私個人の想いだけれど、Noismという存在は、新潟にとって必要な「違和感」だと感じている。近頃の社会はSNSの爆発的な浸透より、互いが相思相愛による「共感」から文化が生まれやすい傾向にあるように思う。共感、もちろん大切だ。けれど、本来文化とは問題意識から始まるものではなかっただろうか。アートに限っては、問題そのものだったりもする。共感、承認の連鎖で繋がることは人間の本質的な姿だけれど、問題という名の「良い違和感」が起点となって育つものもまた文化であって、その違和感をあらゆる角度から観察し、検証し、批評することこそ、私たち鑑賞者の役割だとも思う。という前提に立ったとき、Noismから発生する違和感を、私自身はこれから先も新潟で立ち会っていたいと思うのだ。新潟の、新潟による文化熟成のためにも。
そんなNoismの新作公演が、2019年1月から2月にかけてりゅーとぴあと、東京・吉祥寺シアターで行われる。この機会に良い違和感というものを、ぜひ味わってみてほしいと、切に思う。