大畠祐介さんの看板 1.
文字や絵で情報を的確に伝える看板やサインは、まちなみや建物、その看板があらわすであろう商いの印象を決めるものとしてことさら重要になるものだろう。特にまちを歩いていて、かわいくない看板に出合うことほど残念だなあと思うことはないし、逆に感じのよい看板に出合うと、これだ!とついつい膝を打ちたい衝動にかられることがあるものだ。
その意味で広島のデザイナー大畠祐介さんがデザインする看板は、どれも後者の印象を僕に与えてくれる。
大畠さんは1975年広島生まれのデザイナー。広島市内をベースに活動し、自身がデザインしたプロダクトなどを販売するAir pocket.(広島市中区十日市町1-5-5)というショップの店主でもある。
インテリアデザインの「LIME」、ちょっと毒っけのあるグラフィックワークによる「UNDERLAND.」、テーブルまわりのプロダクトを中心とした「X.Y」と、3つの異なるコンセプトをもつブランドのデザインも手がけている。
広島という地にあって、その活動は全国的には必ずしも知られているというわけではなないかもしれないが、僕は広島に帰省(といっても僕は浅草生まれ、広島は奥さんの実家です)のたびに、祐介さんに会いにAir pocket.に足を運んでいる。
そんな祐介さんの仕事として、最近とくに際立っているのが、看板のデザインだ。お店や個人の依頼で制作するというその看板は、どれも大畠さんならではの個性溢れるデザインだ。写真は祐介さんがデザインした、とびきりイカしたサイクルショップ兼カフェ「GRUMPY & DOPEY’S CAFE」のカフェの方の看板。看板の素材、色、文字、グラフィック、アートワークの全てのバランスが素晴らしい。
「Design」という言葉の中にはサインを意味する「Sign」という言葉が入っているが、祐介さんのそれは、そのもののあり方を的確に捉え表現し、それを目にしたものの心やイメージを解きほぐす「デザイン」という感じだろうか。デザインの面白さ、自由さが祐介さんのデザイン=サインには感じられるのだ。
とにかく祐介さんのデザインは、これっぽっちも肩肘を張ったものではない。でも、そのいずれもに豊かなデザインマインドがあふれている。
大畠祐介さんのHP