イケメン漁師に乾杯
よしもとよしともの新作小説

日々、意味>新 2018.07.31 橋本 司

大友克洋や松本大洋を読んだときに「こんな天才丸出しな天才がすでにいて、たぶんそういう人はどのカテゴリーに行ってもすでにいるんだろう」そう思うとなんだか何をやってもダメな気がして、しょぼんとしていた10代の終わりに出合ったのが、このよしもとよしともの「青い車」です。

 

サラッとしてて一見なんてことないように見える絵と、特別何かが起こるわけじゃないまま終わっていく日常の断片的な話。そんな何気ない漫画の方が当時の自分にとってはぜんぜんしっくりきた。そのことでずいぶん勇気付けられました。今読むとさすがに時代を感じますが(その時代を描いたものだから当然ですけど)、その当時にこの漫画があってほんとによかったです。

 

で、その青い車なんですけど、このインタビューを読んで絶版状態になってることを知りました。そのこと自体は残念だけど、寡作な作者がこのインタビュー含め、映画の脚本ラジオにDJミックスを提供するなど漫画とは違う形ではあるけれど、ここ最近名前を見かける機会が多いのはちょっとうれしい。

 

今までも漫画というフォーマットは踏襲しつつも、イラストと文章が連続性のないまま羅列されるジョン・ケージの曲名を冠した「4分33秒」や、小説と漫画が合わさった形式の「見張り塔からずっと」などもあったので、漫画じゃないことには驚かなかったけど、思えば漫画に固執しない漫画家ってのも珍しいですね。

 

そんな氏が現在リアルタイムで連載している小説があります。その名も「イケメン漁師」。作者のことを知らない人からすると「笑」なタイトルかもしれませんが、文章のトーンの重さなどを含めると「らしいなぁ」と思ってしまいます。これから話がどうなっていくのか、寡作な作者の作品だけにとても楽しみです。

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