オレンジとグレーの衝撃。岩元航大くんのデザイン

日々、意味>新 2019.01.29 加藤 孝司

写真は昨年の秋、とある展示会場でみた岩元航大くんの新しい家具シリーズだ。椅子、ローテーブル、シェルフ、デスク。それらはすべてフラットな板で構成されていた。潔いデザイン。このコーナーでもたびたび登場している岩元くんは、duendeでもbent stoolをデザインしているデザイナー。bent stoolは最近ではファッション雑誌のグラビアでも見ることがあり、デザインの分野以外でも注目されていることが分かる。実際売れ行きも好調だという。

見た人以外にはわからないとは思うが、控えめにいっても、この展示会場のこの場所での岩元くんの作品は浮いていた。だが、アウェーともいえるこの場所でも岩元くんは作品、素材へのアプローチ、展示方法を含め新しい実験をしていたように思う。

家具は生活やインテリアの一部でそれらと密接な関係をもちながら自らの存在意義を確立していく。この展示で岩元くんが企てていたように見えるのが、家具と空間との関係性を超えて、家具と色、家具と空間との関係性だったように思う。オレンジ色とグレーの空間で、同系色の家具はあくまでどこまでも透明な存在だった。だからこそそのアプローチは際立ってみえる。

その家具とは、佐賀県諸富町に本社を構える家具メーカー、レグナテックと共同開発した「dear sir/madam」で、オンライン販売に特化したフラットパッキング・セルフビルドの商品だという。dear sir/madamとは、手紙の書き出しの言葉。誰かに手紙を書くように、家具を送るアプローチだろうか。とするとレターパックのようなフラットな板で家具が構成されていることは合点がいく。そして色との関係性も。家具と同じ空間の色は地と図の関係性を思わせる。もちろん家具が図で背景が地なのだが、岩元くんは展示会場という4次元の空間で、地と図の反転をもくろんでいるようにも見えた。そんな家具のあり方も思索的で実に面白い。

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