Don’t 思考停止

日々、意味>新 2017.08.27 橋本 司

「科学の本を紹介する漫画」という一風変わった触れ込みで話題になったこの本ですけど、あらためて内容がほんとにすばらしいです。身の回りのあらゆることには科学のきっかけがひそんでいて、そのことをよく知るにはこういう本があるよと教えてくれるわけなんですけど、個人的にはそこでどういった本が紹介されているかより、身近なことからたくさんのことを考え得る視点の提示がとてもいい。

 

たとえば、鏡に映る姿は左右は反転するけど、どうして上下は反転しないのか?それは重力のせいなのか、はたまた物理や自然の法則によるものなのか。当たり前に「鏡に映る」ということだけをとってみても、わからないことが含まれてるんですよね。

 

この本の中で特に好きな一節があります。「チューリップの巻いた葉は、降った雨を集める漏斗の仕事をつとめます。ヤツデの広い大きな葉は、上から下へと順に雨を根元に送ります。貴女がたは何の気なしに見過ごしていらっしゃるでしょうが、植物の葉は一枚も無駄についてはいないのです」。科学というと小難しく思えるかもしれないけど、その出発点は興味・関心を持つことなんですねー。

 

今のご時世わかりやすいものは親切で良しとされ、一見して答えのわからないようなわかりにくいものは不親切で遠ざけられる傾向にある気がします。でも、この本に出てくる人物たちがいろんなことに興味や関心を持って、考えて想像して、時に悩んでは何かに気付く様を見ていると、考えるのって楽しいことなんだなと。そして、それは何の気なしに見過ごしてる良さやおもしろさに気付く、とても有効な手段なんだなとあらためて気付かされます。

 

そういや、ラーメンズも「興めよぉ」って言ってたな。

 

ドミトリーともきんす高野文子