近江屋洋菓子店の椅子

日々、意味>新 2018.06.27 加藤 孝司

下町にはいい感じの喫茶店やカフェが多く存在する。深煎りのコーヒーやソーダ水、地元でつくられているパン、スパゲッティナポリタンやピザなど、そのお店らしいメニューを朝から楽しむことができるお店だ。なかでも昔からあって変わらない雰囲気で、いまでも好きなお店のひとつが神田淡路町にある近江屋洋菓子店だ。カテゴリーでいえば、喫茶やカフェではあく、洋菓子店なのだが、このお店で興味深いのがイートインのコーナー。店内のショーケースの前に並び、ケーキやスイーツをオーダーするスタイルは普通のケーキ屋さんと同じ。ここではイートインを楽しむためにドリンクのオーダーは欠かせない。

オーダーをすると近江屋洋菓子店ならではのレトロでかわいいイラストのカップが渡され、それを店内のドリンクバーで好きな飲物をセルフでサーブする。飲み物はコーヒーや紅茶はもちろん、季節のフルーツのドリンクや温かいボルシチもある。

僕が好きなのが近江屋洋菓子店のイートインコーナーの椅子。高いカンターとテーブルに合わせてバースツールのような背の高い椅子。生地感に「張り」のある北欧のミッドセンチュリーを思わせる丸いフォルムは絶妙なクッション性があり、長く座っていても疲れない。あわい色合いのクリーム色もいい。手入れをしながら長く使い続けられ愛されている雰囲気がものから伝わってくる。目新しい青いビニールが貼られて椅子もあるが、これもレトロな佇まいは悪くない。

近江屋洋菓子店は明示17年創業。洋菓子や焼き菓子、店内で販売するパンなども自家製にこだわっている。僕のお気に入りのケーキはイチゴたっぷりのショートケーキ。生クリームはふんわりやわらかく、さっくりとした生地とよく馴染む。昨年、兄弟のような内装で地域の人たちに親しまれていた本郷店が惜しまれながら閉店した。

味わい深い内装と趣きのある椅子とともに、いつまでも変わらずにいてほしい空間である。

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