この秋のデザインウィーク

日々、意味>新 2018.10.29 加藤 孝司

今年の秋のデザインウィークも東京の街中で賑やかに開催中。その中から二つほどご紹介。

まずはデンマークのテキスタイルメーカー「kvadrat(クヴァドラ)」でインスタレーション形式で新作カーテンと名作Cloudsの新色を発表したフランスのデザイナー、ロナン&エルワン・ブルレック。とにかく、このカーテンがすごかった。薄く透けるテキスタイルに繊細な刺繍が鬼のように施されている。クラフトとテクノロジーの融合、ドローイングを得意とするロナン&エルワンの類い稀な絵画的、グラフィック的ともいえる構成力がいかんなく表現された作品。刺繍やステッチ、編みといった表現が繰り返しの中にもいくつものパターンを生み出していて、眺めていて飽きさせない。これは部屋に掛けていつまでも眺めていたいと思った。こちらのインスタレーションは11月2日まで青山のkvadratショールームにて開催中。今回はロナンさんにインタビューをさせていただく機会をいただいたので、そちらはいつかまたどちらかで。
もうひとつは福岡の3人のデザイナーの新作合同展「Beyond the Simplicity 行為の先にある現象」(会期終了・裏参道ガーデン2階)。こちらはここ数年会場を変え開催されているもので、個人的に毎年楽しみにしているエキシビションのひとつ。とにかくいつもインスピレーションに溢れていて、デザインの実験を垣間みるような驚きがあり、しかも使うシーンが想像できるような実用性も兼ね備えたモノたち。今回、高須学さん、坂下和長さん、中庭日出海さんの3人のデザイナーは、それぞれの身近にある材料やテクニックを用い、素直にシンプルに、飛躍的にそれらを調理しカタチにした。ときにそれらは素材のありのままの姿を見せながら、手術台の上の蝙蝠傘とミシンの出合いのように軽やかに既成のレシピを逸脱してみせる。逸脱したことでさらに魅力的に見せているのは、これはそれぞれ3名のセンスによるものだろう。ボクにとってデザインは少し既成の価値観を逸脱(或は更新)することでさらに魅力的に見えてくる。

そして枚数制限の都合で今回写真は掲載出来なかったが、その他にも、名称に新たに開催都市名を加えた「DESIGNART TOKYO」(会期終了)は東京のデザインの秋を代表するにふさわしいダイナミックで繊細な展開をみせていたし、今年新たに創設された「ギャラリー田村ジョー コンテンポラリーデザインの現在・過去・未来」(会期終了)も新旧のデザイン界のスターを巧みに紹介していて今後の展開を期待させるものだった。そして渋谷ヒカリエ・Creative Lounge MOV「aiiima 2」で私物のコレクションを展示し、一部販売もした角田陽太くん、鈴木啓太さん、阿部薫太郎さんの3名による「物欲展」(会期終了)。こちらも、つくられた時代、クラフト、工芸、工業、デザイン、アートを横断した個人の持ち物を持ち寄るという、思索的で品評会のような試みで実に刺激的だったことを付け加えておく。

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